農家住宅?分家住宅?田舎の物件の売買には細心の注意が必要です。

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2020年10月14日

農家住宅?分家住宅?田舎の物件の売買には細心の注意が必要です。

農家住宅とはどんな住宅?

市街化調整区域(周りが田んぼ畑、山林が広がっているような地域)では基本的には建築が難しいのですが
(開発許可が必要です)、
農業・林業・漁業を仕事としている人は許可不要で農林漁業のための建築物と自宅を建てることができます。

趣旨としては、市街化調整区域(農業をやってもらいたい土地)で農家さんが自分の農地の近くで
家を建てる場合だけ、開発許可もなく家や小屋を建築してもOK。その代わり、農地をしっかり管理してくださいといった感じです。

農家住宅のメリット

市街化調整区域では、開発許可が出ない限り、自宅を建てることは出来ません。

しかし、農家住宅として認められることによって「通常は建築することが不可能な土地に家を建てることができる。しかも開発許可不要。」というメリットを受けられます。

イメージ的には農家を営む親御さんの後を継ぐお子さんが建てる時などにピッタリの方法です。

農家住宅を建築する際の制限

上手い話だけではなく当然、いくつかの制限がございます。

・年間60日以上農業に従事していること

・農業従事証明を提出できること。→農家証明書とも言われます。

・耕地面積が一反(=約1,000㎡)以上の規模。

・自宅を持っていないこと(無資産者)

・建設予定地と土地が近接していること→自宅から遠いところに農地があるのでは、許可は難しいということです。

・農家住宅を建てる土地の面積は1000㎡(300坪)以下

このような制限があります。分家住宅では土地の面積が500㎡(150坪)以下ですので、農家住宅は農作業用の機械をたくさん置く必要があるので広く利用することが認められているのですね

農家住宅を売買する為には?

上記のような方法で農家住宅を建てた場合、同時に大きな制限を負うことになります。

通常は建てられない土地に家を建てられたというメリットもある分、デメリットもあるわけです。

農家住宅の場合ですと「その家はAさんの農家住宅」という風に解釈されるようになります。

Aさんが農業を営むために出来た家(=農家住宅)なので他の人は基本的に利用できない

これらが市役所等の自治体にデータとして残り、売買に制限を生みます。

AさんがBさんに自治体等の許可無く家を売った場合、Bさんは都市計画法43条に違反となってしまい合法的に家に住むことができなくなります。

これはAさんの家が農家をやるAさんのための住宅であって、Bさんが住むことは想定されていないためです。

通報等で違反状態が分かれば、都市計画法に基づいて退去等の厳しい命令が出ます。
いつそんな事を言われるか分からないのに、買う人はいません。

さらに、許可無く売買すると再建築についても困難となります。
 
再建築できない土地は、将来家を建てられないけど、固定資産税だけはしっかりとられる価値がマイナスの土地。いわゆる「負動産」というものです。 
 
そこで、必要となるのが「農家住宅」から別の用途に変更するという手続きです。 

農家住宅の用途変更とは?

農家住宅を元々のオーナーであるAさんからBさんに売買して問題なく使えるようにするには、「用途変更」という許可が必要です。

この審査基準は自治体ごとにルールが異なりますが、方向性は似ています。

下記のような基準に該当すれば、許可が出る可能性があります。

建築後、10~20年程度の年数を経過している場合
建築後、規定の年数を経過した後にAさんが破産手続き開始の決定がされた場合
建築後、規定の年数を経過した後にAさんが生活の困窮・病気・高齢化・死亡等などのやむを得ない事情が生じた場合

農家住宅用途変更資料
このような場合が、用途変更が認められますが結構難しいです。

本人が亡くなり、相続予定者等が遠方にいて農業を維持することが出来ないなどの事情がある場合が認められやすいでしょうか。 

 そして重要なポイントは、Aさんが適法に今まで暮らしていることが前提であることです。

例えば、過去にAさんが農地を許可無く転用して駐車場にしていたとか、建築確認を取らずに建築行為をしていたなどが分かれば、許可は出ないと考えられます。

つまり、何か自治体から見て問題があることが判明した場合はそれを是正しない限り許可は出ません。

家を新築する際、購入する際にはその用途を確認しましょう

市街化調整区域では厳しく建築行為が制限されていますが、農家住宅は例外中の例外として開発許可さえも不要で建築可能です。

これは大きなメリットにもなりますが、それと同じかそれ以上のデメリットも生む可能性があるのが農家住宅です。

建築業者の中にはこういったデメリットを説明することなく、手続きの簡単さと費用が浮くからという理由から農家住宅を勧めてくることがありますが、将来の不動産価値を考えるのでしたら、しっかりと開発許可を受けて建築したほうがメリットもありますので良く考えてみましょう。

今後も永代にわたって農家を継ぐご家庭なら安心ですが、そうでない場合はこの記事を機会に「うちの家は農家住宅として建てられているんだろうか?単なる分家住宅なんだろうか?」などを調べてみるといいかもしれません。

調べてみると、農家住宅としてではなく別の許可で建てられた家であることも多いです。

こうした開発許可の経緯によって売却物件として売りに出す場合や貸す時に大きな差がある点も、市街化調整区域では要注意です。

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