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辞書を引いてみるとどちらも「名前を書くこと」となっていて、一見大きな違いはないように思えます。
しかし、「記名 署名」で検索してみると、行政書士や司法書士の解説サイトがたくさんヒットします。
日常生活ではあまりはっきりした区別がない「記名と署名」は、法律的にははっきりした区別があるのです。
なぜ、法律の世界ではここまで細かいのか?それは、「記名」と「署名」では、「法律上の効力」が全く違うからです!!
特に契約書などの場合は、「記名しただけ」のものは有効と認められません。
しかし「署名したもの」については印鑑がなくても合意したものとして「有効」と判断されます。
スマホの契約や家財保険の契約、消費者金融でも書面の最後に「署名欄」に「自署」と必ず書いてあるのは、記名だと契約が成立しないからなんですね。
さて、最初のお客様のお願いを聞いて住所氏名を印字して契約書が有効になるかどうかですが、記名だけでは法律的に有効ではありません。
しかし、「記名だけ」ではなく、そこに「押印があれば有効」になりますのでお客様の御希望通り印字してあげられそうです。
ここで、ちょっと注意が必要なのが、印鑑を押すのが本人でなくても有効になる点です。例えば、契約内容を事前にメールでもらって、合意したときて記名をします。その後内容を書き換えられて、勝手に印鑑を押されてしまうと大変なことになってしまいますね。
何気なく押している印鑑にも重要な意味があったのです。
今回のお客様にはお名前だけは自署してもらうことになりました
署名を英語で言うと「サイン」。印鑑の習慣のない欧米では「サイン」が日本の実印以上の効力を持っています。自著をすれば契約内容に合意したとみなされて、その契約書は有効となります。
例えば、クレジットカード利用時のサイン。店頭でカードを利用した時、利用明細にサインを求められます。これは「このカードを利用して、表記の金額の支払に合意します」という意思表示をしたのと同じ意味になっています。
自分で名前を書いたんだから納得してますよね?ということです。自署なら法律的には印鑑不要ですが、日本の場合、印鑑を押すことでさらに補強しているのですね。
よく、重要な書面では「実印」を求められる場合があります。立派なハンコを押す方、三文判と変わらないもので押す方いらっしゃるかと思いますが、どちらもそのままでは実印として有効にはなりません。
有効期限内の印鑑証明を添付して初めて実印としての効力を持ちます。印鑑証明は原則、登録した本人でないと取れないものですから、添付することでより強い「合意」を表現する意味になるというわけです。
ちなみに印鑑登録できるハンコは「8ミリ以上25ミリ以下で欠けやすい材質以外の物」です。姓だけでも名だけでも姓名両方入れても登録できますが、絵柄が入っているのはダメなので、最近流行ってきたイラスト印鑑はNGです。