売却を依頼されて公図、謄本を見てみたら・・
今回は、時間はかかりましたがうまくいった事例として、借地の上に建物がある物件の売却をしたお話をさせていただきます。
相談にいらしたのは奥様でご主人が亡くなってから数年経ち、そろそろ老人ホームへということで自宅を売却したいとのことでした。
早速、査定の為に土地の情報を調べてみると・・一番大事な道路からの入り口部分が他人の土地となっている状態でした。
奥様は毎年年末に土地の税金として振込をしていたつもりだったようですが、それ、地主さんへの借地代です・・
この状態では借地権付きで家を売るにも地主さんとの契約が必要となりますので、まずは地主さんの所にあいさつに行ってみる事にしました。
地主さんからの最初のお返事はNG
借地の大家さんなかなか忙しい方で、アポイントを取ってみてもなかなか会えず、ようやく会えたのは相談から2週間後でした。
こういった借地権付の不動産の売却の場合一番良い方法は地主さんから買取させて頂く方法ですので、可能かどうか聞いてみますが、当然NG。それはそうですよね。だれでも財産が減るのは抵抗があります。
ここからは何回も通って、ようやく金額次第では売ってもいいとのお返事!ここまでで2ヶ月かかっています
借地権割合とはなんでしょうか?
さて、こういった借りていた土地を購入する場合には通常の土地の査定とは違う方法をとることが多いです。借りていた立場とすると、今まで借地代として結構お金を払っていたのだから安く買いたいと思うからです。その時に一つの指標とするのが「借地権割合」というものです。
借地権(土地を借りている権利)も財産とみられますので、相続税や贈与税の課税の為に国が決めたものです。路線価図という国税庁のページから調べられます。
栃木など地方ですと借地権割合が50%程度になっていることが多いです。
例えば1坪10万円の土地を30坪借りていたとすると
10万円×30坪×借地権割合50%=150万円くらいが評価となります。
つまり土地の所有者が地主さんでも財産の価値としては
借りている人が150万円、地主さんも150万円というようにそれぞれ持っている状態ということです。
もちろん地主さんとの関係や借地権だけを他人に売るには地主さんの譲渡承諾代も考えないとならないのでひとつの目安としてです。
相続などを経験している地主さんですと、このあたりのお話も納得してくれるのですがなかなか分かってくれる方は少ないです。「なんで貸している土地に権利が付くんだ!」とか怒り出す方も多いです。
ちなみに都内などでは、この借地権割合が60%とか70%なんて場所もあります。都会では土地を借りているのも強い権利ということですね。
今回の土地での結末
さて、今回の地主さんはといいますと相続で結構苦労なさっていた方で、借地権割合の話にもなんとか理解を示してくれました。ただ割合が30%ということに・・
つまり、借りている人が30%評価、地主さんが70%評価という割合ということで通常の売買価格の70%での売買ということで話がまとまりました。
すぐに相談をしてきた奥様に取得して頂き、土地建物が全部一人の方が持っている綺麗な状態の不動産をして売却できました。
ちょっと難しそうかと思える物件も解決できることもありますのでまずはご相談を