200㎡の土地が10筆に分かれている。地主さんはなぜこんなことを・・

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2020年01月10日

200㎡の土地が10筆に分かれている。地主さんはなぜこんなことを・・

この土地だけ異様ですね

60坪の土地を調査するのに、10筆分の謄本をとるのは初めて

今回は、栃木市内のある土地の査定を依頼された時のお話です。

土地の調査をする際、まず最初に取得するのが公図です。上の写真はその土地のある部分をアップにしたのですが、一か所だけ異様な場所がありますね。
そうです、今回依頼を受けた土地はここです。

200㎡(約60坪)の土地がなんと10筆に分かれています。

スケールで測ってみると、「約1m×20m」が10筆!!

登記簿謄本を取るのには1筆ごとにお金がかかりますので、普通よりも調査費用もかかってしまいました。

こういった場合だいたいが税金対策なのですが、今回のケースの経緯を考えるのに合わせてついでに、税金対策になった理由をご紹介します

間口税って何?

テレビなどでも紹介されたことがあるそうなので、知っている方もいるかもしれませんが、
京都など古い街では「間口税」といって間口の広さで税金の額を決めていたので間口を狭くするという事が節税方法だったのです。

栃木市も巴波川(うずまがわ)の舟運拠点と宿場町として栄えた街ですので、蔵がたくさん建っていました。当然税金がかかりますので、商人の方達は少しでも安く済ませようと建物の間口を狭くして奥行きが長い蔵を並べて建てていたそうです。

その為、栃木市の中心街、特に川の傍の土地はみんな細長いんですよね。今回の土地もその税金対策の為か・・というとそうではないようです。間口税はあくまで、建物に対しての税金ですので、今回の土地のように建物が建てられないくらいに細く分筆する意味はないんですよね。

という事で今回の土地では間口税は関係なさそうです。

ちなみに、イギリスでは窓の数で税金をかけていたなんてこともあったそうです。面白いですね

理由の本命はこっち、相続税対策

普通に考えて、相続税対策が考えられます。

理由のひとつ目に、「間口が狭ければ固定資産の評価が下げられる」というものがあります。4m未満になれば1割くらい評価が下がるので結構重要です。間口が狭ければ利用価値も下がりますので当然ですが、皆さん嫌がる「敷地延長の土地」(旗竿のような形の土地)は評価が低くなるのでお得感があるかもしれませんね。


今回の土地で言うと、全体を一つの宅地と捉えられますのでこの相続税対策も違うようです。

多分、正解に一番近いのは、持分共有で相続させるのではなく、細かく分割しておいて、遺産分割の割合で土地を分けさせようとしたのではないかと思います。お兄さんは土地6つ、弟さんは4つみたいな感じで。

共有持ち分での相続をすると以前ブログで書いたように売却するにも利用するにも苦労するので、地主さんのご先祖はこのような方法をとったのかもしれません。

現在の栃木市の不動産の状況を考えると、僅か60坪の土地を分けて相続するなんてありえない事なのですが、この土地の分筆がなされた頃は商人の集まる地域に土地が足りず、奪い合いがあったそうなので上手に子孫に不動産を残していけるように一生懸命考えたのかも知れませんね。

管理が大変なので合筆する?それともこのままの方がいいの?

こんなにたくさん分かれていると管理が大変です。権利証もそれぞれ発行されるので、なくさないか不安になってしまうかもしれません。そんな時には「合筆」をおススメします。土地を分ける事の反対ですね。
 
「土地の字名が同じ」「所有者が同じ」「土地が接続している」などいくつか条件はありますが 大体の場合は手続きが出来ると思います。ただし、当然ですがお金がかかります。測量をしたり合筆登記の登記料などがかかります。測量図がすでにあれば登記料のみなのでそれほどかかりませんが、図面がない状態から合筆するとなると数十万円かかることもあります。今回のように筆数が多ければその分費用もどんどんかさみますので大変です。
 
 
逆にこのままにしておいた方がメリットがある場合もあります。相続の時に遺産分割のお話がしやすいです。一つの土地を持分共有で所有するといざ売却の時に結構もめます。とくに多いのが売却価格の取り分ですね。途中まで売却の話が進むと、いきなり座布団返しになった時もこのパターンでした。その点、土地をそれぞれ単独名義で所有していれば、それぞれの土地で売買契約を結ぶので後で金額の変更ということはまずありません。極端な話、隣通しの土地なのに100万円金額が違う事もあります。それでもそれぞれの所有者が納得して売買契約を結びますのでもめることもありませんので、持分共有にするよりもいい方法ですね。 
 
今回の土地の場合は、60坪を分割して買う人はまずいませんので、本来なら合筆がおススメですが、あまりにも費用がかかるため、現状のままにしておくことになりました。 
 
 
土地の状態は千差万別です。皆さんも一度、ご自分の又はご家族の不動産の調査をしてみてください。 

栃木市の不動産の調査は日建ハウジングにお任せください

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