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最近は、事務所や倉庫を探しているお客様が多く、弊社も何件かそういった物件の下見をしてきました。結構古い倉庫もあって、設備などをみていくと写真のような電気機器を見かけました。
使っていないものという事なので、電気屋さんに配線の整理と撤去をお願いすると、「PCB」の可能性があるのでまずは判別してから処分しますとのこと。
「栃木県からもチラシとか配布されていますよ」と聞いたので事務所に帰って探したら結構緊急性があるようでびっくりです。黄色と赤の文字で「処理期限」まで書いてあるし、気付いてよかったです。
昔、学校で「カネミ油症事件」で習ったなあと思い出してあらためてPCBの事を調べてみましたので簡単にご説明します。
PCBは、正式にはポリ塩化ビフェニルといいます。不燃性や絶縁性に優れることから、かつてはトランス(変圧器)やコンデンサ(蓄電器)の絶縁油をはじめ、熱媒体や潤滑油、感圧複写紙や印刷インク、建築現場のシーリング材など様々な用途で利用されてきました。
ところが、1960年代後半から生体への影響や環境汚染が社会問題となり、1970年代に生産、輸入、使用が中止になったのです。当時は、日本にPCBを処理する技術も施設もなかったので、PCBを含む電気機器類は、自治体が厳重に保管状況を把握した上で、そのまま持ち主が保管し続けることになりました。だから今でも、古いトランスやコンデンサは処理することができず、PCB廃棄物として地下室や倉庫、屋上などに保管されているのです。また、一部の建物では使用中のものもあります。
なぜ、今頃になって騒ぎ出したかというと、1990年頃からようやくPCBの処理技術が開発され、一方で厳重に保管状況を管理しているはずだったPCB廃棄物が、その後の追跡調査で、紛失しているものも多いことが判明しました。そこでPCBが再び問題視されるなかで、2001年7月に施行されたのが、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(PCB特措法)です。2004年にはPCB廃棄物処理事業を行う中間貯蔵・環境安全事業株式会社(通称JESCO)も設立され、PCB廃棄物の処理が本格的に動き始めました。
分かりやすいところは上の写真にもあるような「コンデンサー」や「変圧器」です。昭和28年~昭和47年に国内で製造されたものが高濃度PCB使用の可能性があるそうです。
事務所で可能性が高いところでは照明器具ですね。昭和52年までに建築した事業用の建物についている照明器具の中に入っている「安定器」が対象です。
その他にも、水銀灯器具やエレベーターなども可能性があるようなので古い器具が残っている場合には型番を調べたり、処理業者に聞いたりしてみましょう。
処理の期限は3パターンに分かれます。
①高濃度PCB使用の変圧器(トランス)コンデンサー
2022年(令和4年)3月末
②高濃度PCB使用の安定器・その他
2023年(令和5年)3月末
③低濃度PCB使用の廃棄物
2027年(令和9年)3月末
今回話題に出ているのは、この高濃度PCBについてですね。濃度の基準があるようですが、詳しくは専門業者に頼んだ方がいいですね。